シカゴ美術館:シルクロード展: The Silk Road and Beyond
近い将来、シカゴ美術館へ訪れる機会があるのなら、モネやピカソの絵画を観賞した後に、アジアのギャラリーへも足を運んでみてはどうだろうか。 そして、今話題の展示会、シルクロード展(The Silk Road and Beyond)を観賞してみるとよい。 シルクロードといえば中央アジアとヨーロッパを横断する古代の東西交通路であり、前世紀200年から、14世紀にモンゴル帝国がアジアを征服するまでの間、ヨーロッパとアジアの交易に大きく貢献をしたルートである。 
 絹が代表的な交易の品物であった為、「絹の道」こと「シルクロード」という名前が付けられた。当然なことだが、このルートによる交易は、ただ単に品物の売価に留まらず、ヨーロッパとアジアの文化に強い影響を残した。 日本人にとって、シルクロードは誰もが知っていることで、この古代の交通路のイメージを頭の中で描くことは簡単である、しかし、アメリカ人にはこの事項についての認識はまだまだ薄く、シルクロードという言葉さえ知らない人はたくさんいる。 実際、多くの人々がこの展示会を通じて、古代にアジアとヨーロッパは交流していた事を初めて把握することになる。
 シルクロードの認識の薄さとは裏腹に、シカゴ美術館にはシルクロードに関連するコレクションは豊富で、その多くは倉庫に眠っていた。 この展示会を機に、美術館では全てのコレクションを展示するということで、唐の王朝(Tang)の彫像から、シルクで織られた法廷のガウンまで、3回のローティションに分けてアジア・ギャラリーで展示する予定である。 また、アジア・ギャラリーだけでなく、アジア文化に影響をうけたオランダの絵画やアジア大陸の現代の写真など、館内の幾つかのギャラリーはシルクロードのテーマに沿った作品を展示している。
 この展示会の特殊なところは、シカゴ美術館と共に、シカゴ市の文化部とシカゴ交響楽団がお互いに支援し合い、シルクロード・プロジェクトを創立し、多彩な分野で奇抜な企画を組んだことであろう。 これはコレクションをケースの中に入れて展示するだけという通常の展示会の形式とは全く異なり、シルクロードというテーマにもとづき、音楽、演劇、ダンス、講演など120以上のイベントが、展示会を閉じる2007年の9月30日まで、あらゆる場所で繰り広げられる。  シルクロード展の趣旨は、ヨーロッパとアジアの繋がりを認識させ、ミステリアスとされているアジア文化に興味を持たせる糸口を創るということだが、その他に、シカゴ市が持つ多様人種の豊富さを誇ることも重要な要旨になっている。
 シルクロード・プロジェクトの芸術監督であるセロリスト、ヨーヨーマ氏 (Yo-Yo Ma)は、多様人種の尊さに共鳴し、シカゴ市は世界中からの様々な人種や国籍の人々が在住している『世界のクロスローズ』とこの都市を賛している。  また、ヨーヨーマ氏は、いろいろな文化を吸収しあうことで、我々の文化をさらに深めていくことができるとも語っている。 シカゴ美術館でシルクロード展を観賞する折に、ギャラリートークやツアーを利用してみたらどうであろう。
 日本人が持っているシルクロードへの感覚と違う解釈を聞くのは面白いし、コレクションの重要さや裏話を聞くことで、新しい感慨も抱かせてくれる。 また、シルクロードに想いをよせた音楽、演劇、ダンスなどを観賞するのも、たいへん興味深い。 是非シカゴ美術館、並びにシルクロード・プロジェクトが企画したイベントに足を向けて欲しい。 



シルクロード・プロジェクト

2007年9月30日 まで

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