“アメリカで一番ヨーロッパ的な街”、
ニューオリンズを味わい尽くせ!
 IPW(International Pow Wow)参加レポート(6/18〜22) 

 

 ミシシッピ川4,000キロの旅の終着駅、ニューオリンズ。
 フランス→スペイン→フランス→アメリカ合衆国と、3か国による統治の歴史に翻弄されてきたこの地には、いまだフランス領だった頃の面影が多く残る。“アメリカで最もヨーロッパ的な街”とも称されるゆえんだ。
 
 この歴史深いニューオリンズで、第48回IPW(International Pow Wow)が開催された。IPWは、「全米旅行産業協会(U.S. Travel Association)」が主催する米旅行業界最大のイベントで、一言で言うと、“アメリカの大見本市”。世界にアメリカを旅先としてアピールするのが狙い。73か国から旅関連のジャーナリストや旅行業者、総勢6000人あまりが集結し、アメリカ各州の観光局や観光産業と商談が行われた。3日間の本日程の前後には、ルイジアナ州主催によるホスピタリティーあふれるイベントや観光ツアーも多く催され、当地ニューオリンズの魅力を世界にアピールした。


2016年のIPWホスト州、ルイジアナ州のブースが出迎え

 さて、当US新聞ドットコムは、2014年IPW@シカゴに続いて中西部の日本語媒体として唯一このIPWに参加。せっかくの機会なので、読者の皆様に今回のIPWの全容をざっとご紹介しよう。
(過去の関連記事: 全世界にシカゴを売り込め!2014 “IPW(International Pow Wow)” In Chicago




ルイジアナの食、音楽、伝統芸能などがぎゅっと詰まったプレゼンテーション
 日程は6月18日から22日までの5日間、会場は「ニューオーリンズ・モリアル・コンベンションセンター 」。18日(土)、19日(日)の2日間では、メディア向けの各種イベントや市内ツアーが開催された。(※詳しくはこの後の「観光編」にて紹介しています。)

 左の写真は、 オルフェウム劇場(The Orpheum Theater)で行われた、プレレス・ブランチの様子。(6/19)
 この劇場が建てられたのは、1918年。2005年のハリケーン「カトリーナ」で1階部分が水浸しになり大きな被害を受けて以来閉館状態にあった。しかし、2015年8月にニューオリンズ市によって修復工事が完了、完全復活を遂げた。今回のIPWのオープニングに、ここほどふさわしい場所はなかっただろう。


 19日の夜は、”カーニバル・アラウンド・ザ・ワールド”と題したスペシャル前夜祭が「メルセデス・ベンツ・スーパードーム」で開かれた。ここはご存知、NFL(全米アメリカンフットボールリーグ)の「ニューオーリンズ・セインツ」の本拠地。ニューオリンズのレストラン名店による“味の横丁”がずらりと並び、希望者をのせた「マルティ・グラ」のフロートが会場を練り歩く。ドームの中はまさにお祭り騒ぎ。中央のメインステージでは、地元ニューオリンズのスターたち(Rockin' Dopsie, Kermit Ruffins, John Cleary, Dr.John)などが次々とパフォーマンスを繰り広げた。(ああ、ありがたや、ありがたや・・・)


(左)“two girls one shuck”のオイスターバー (中)マルティグラ・インディアン (右)マルティグラのフロート

John Cleary, Kermit Ruffins, Dr.Johnによるステージ。

(左)KermitバンドのピアニストのYoshitaka Tsujiさん。ニューオリンズでは多くの日本人ミュージシャンが活躍している。
(右)終演後のDr. Johnら

 20日からの3日間は、コンベンション会場で早朝から各種コンフェレンスや個別アポイントメントによる商談会が本格的に開始。夜は、各州主催による当地PRイベントが行われた(事前申し込み者のみ)。
 そして、最終日22日の夜は、当コンベンションの参加者をねぎらうフェアウェルディナーが、ミシシッピ川の船上に停泊する2隻の蒸気船と、マルティグラ・ワールド(※1)を貸し切って行われた。


※1)Mardi Gras World
毎年2月に行われるニューオリンズのカーニバル、「マルティグラ」。このパレードのフロート(山車)アーティストとして世界的に有名な、ブレイン・カーン氏のスタジオ・倉庫施設がミシシッピ川辺に建っている。スタジオ内の見学ツアーも人気。



 これらのイベントは、3日間はほぼ会場に缶詰め状態になる参加者のためにルイジアナおよびニューオリンズの魅力を主催者側が「届けて」くれた形だ。しかし、せっかく違う町に来たのだから、時間の許す限り自分の足で歩き、目で見て、肌や舌で感じてみたいもの。というわけで、この5日間で当メディアも総力取材を試みた。シカゴからたったの2時間あまりのフライトで時差もなく行き来できる”楽園”、南部ニューオリンズの魅力を、3編に分けて一挙ご紹介しよう!

1)ニューオリンズ・ここだけはおさえておきたい!:「観光編」
2)ニューオリンズといえば・・・ :「夜遊び編」
3)ニューオリンズは食の宝庫 :「グルメ編」
 (※近日公開予定)

1)ニューオリンズ・ここだけはおさえておきたい。:「観光編」

W風と共に去りぬ”の世界へ。一度は訪れてみたい「サトウキビ御殿」
 IPW本開催の2日前からは、早くもプレス向けの各種ルイジアナ観光ツアーがオプショナルで催された。そのなかのひとつ、「From Swamps to Sugar Barons」は、ルイジアナ州の人気観光アトラクションTOP2を巡るツアー。
 最初に訪れたのは、ニューオリンズ市内から車で約1時間、バトンルージュとの間に点在するプランテーションハウスのひとつ、「Houmas House(ホーマズハウス)」。
 ミシシッピ川から堤防一つを隔てて建つ白亜の屋敷の敷地は、なんと38エーカー(約4万6500坪=東京ドーム約.3.3個分)。その中には、樹齢500年を超える樫の巨木が堂々と鎮座し、手入れの行き届いた色とりどりの季節の花々が、芝生の緑と調和し溜息の出る美しさだ。
 この豪華絢爛な屋敷が建てられたのは、1840年。いわゆる“サトウキビ富豪”たちが、こぞってヨーロッパスタイルの屋敷を建てた、その代表格的プランテーションハウスだ。
 当時、アメリカのミリオネアの3分の1がミシシッピ川沿いに住んでいたと言われるほど、砂糖(サトウキビ)は貴重で価値のあるものだった。このホーマズハウスには、当時アメリカで最多の800人の黒人奴隷が働いていた。6月ですら35℃を越す暑さ(現地の人たちは「まだ春みないなもんだよ」と笑うが)、そのうえ信じられないほどの湿気が体力を即座に奪っていく。この過酷な条件の中で労働を強いられた800人の、血と汗と涙の結晶が、この38エーカーに沁み込んでいるのだ。そう思いながらひとり屋敷内を歩くと、“美しい”だけではすまされない複雑な感情が沸き起こってくる。
 建物内には16の部屋があり、当時の当主や妻たちが贅を尽くした暮らしぶりがうかがえる。2003年には大規模な改修工事がなされたが、今でも1800年代初頭当時のままの家具や食器、調度品もあり、それらをツアーガイドの説明を聞きながら間近に見ることができる。
      

歴史の唯一の“目撃者”は、樹齢500年を超えるこの樫の木

ドイツの名門「スタインウェイ」の1900年製グランドピアノは、アメリカに現存する22台の中のひとつ。映画『Hush Hush Sweet Charlotte』(1963年)の撮影にも使われた。

敷地内にある「Cafe Burnside」では、ザリガニ料理や、レッドビーンズ&ライス、コーンミールの衣で揚げたナマズ、チキン&アンドィユソーセージのガンボなど、南部(ケジャン)料理のランチブッフェが人気。

■「Homas House」インフォメーション
住所:Highway 942 Darrow, LA
Tel:(225) 473-9380
開館時間:9:00AM - 8:00PM
コテージでの宿泊も可能
http://www.houmashouse.com/


アメリカ最大の湿地帯をボートで体験
 次に向かったのは、こちらも人気のアトラクション「スワンプ・ボートツアー」。ルイジアナ州南部のミシシッピ川流域には、スワンプと呼ばれるアメリカ最大規模の湿地帯が広がっている。この中の水路(バイユー)を小型ボートで“探検”する、人気のツアーだ。
 髭のようなスパニッシュモスが両岸にうっそうと生い茂り、緑の水面から時折アリゲーターが顔をのぞかせる。対岸ではアライグマたちがボートを追いかけるように歩いている。水面に浮かぶ折れた木々の枝の上で、無防備に眠りこけているワニの姿も。いったい私たちが彼らを見にきているのか、彼らがこっちを見学しているのか。
 軽快な舵さばきのキャプテンは、フランス語なまりのきつい英語でジョークを飛ばしながら、客にベストショットを撮らせようとアリゲーターをチキンで釣るしぐさを繰り返す。大きな口を開けて飛びつくアリゲーターに思わず歓声が上がる。どうみてもサーカスっぽい。
 そもそも野生の動物たちをそっと見に行くべきツアーなのだが、キャプテンが投げたマシュマロにおびき寄せられた動物たちがその後もボートの後をついてくる様子に、少し複雑な気分になる。とはいえ、せっかくルイジアナを訪れたのならば、先住民の暮らしや歴史を学ぶ上でも一度はスワンプを訪れて損はないだろう。
  
(左)キャプテンの軽快なトークに船内は笑いにつつまれる。 (右)チキンの肉にアリゲーターがジャンプしてガブリと食らいつく


 
原住民の墓(1915年とある)が沿岸にひっそりとたたずむ

■ 「Cajun Pride Swamp Tour」
110 Frenier Road | LaPlace, Louisiana 70068
Tel: (504)467-0758
http://www.cajunprideswamptours.com/



アブなすぎるガイドによるファンキーなガイドツアー。全ての音楽はニューリンズから始まった。
 翌日、市内のウォーキングツアーのひとつ、「Birthplace of Jazz (ジャズ生誕の地)」に参加してみた。ガイドをしてくれたのは、ファンクでロックな男、ローズ・クリスさん。ツアーはまず、ニューオリンズの中心部フレンチクォーターにあるジャクソン広場から。この広場は、北米最大のフリーマーケット&大道芸スペースとして知られている場所だ。この日も、楽器を手にしたストリートミュージシャンや、似顔絵描き、画家、大道芸人たちで賑わっていた。この場所からアメリカへ、世界へと飛び立って行ったミュージシャンも数多く、最近では、トロンボーン・ショーティーなどが有名。
ジャクソン広場にて
  「いいかい?すべての音楽のルーツは、ルイジアナにあるんだ。このことをまず皆に知ってもらいたいんだ。ジャズもザイデコもカントリーもラップも、クラシックまでも、すべてここから始まったといっていい」
 世にも有名な「The House of Rising Sun(朝日のあたる家)」という曲がある。元々はイギリスの古いフォークソングだったこの曲は、1961年、ボブ・ディランのレコーディングで一躍有名になった。その後、1964年のアニマルズのバージョンが大ヒットを飛ばし、“1964年から67年の間にアメリカで一番リクエストされた曲”になった。
 歌の出だしは、「There is a house in New Orleans. They call the Rising Sun.」 この“朝日のあたる家”は本当にニューオリンズに実在するのか、といういまだ結論のない論争も、また有名。ローズさんは自信満々にある場所に連れて行ってくれた。いはく、「(アニマルズの)エリック・バートンから直接聞いた場所だから間違いねえよ」 口調もいつしか、ガイドのそれとは違っていた。「証明できる?」そう聞くと、なぜか鋭い目つきで一蹴されたのだが・・。
「朝日のあたる家」はニューリンズにあった?
(セント・ルイス通り)
 ツアータイトルの“Birth of Jazz”になかなか話がたどり着かないことに業を煮やし、ツアー終盤には20人近くいたプレス関係者たちは5人に減っていた。しかし、私には彼の雑学音楽談義はなかなか興味深く、最後まで付き合うことに決めた。


(右)“アブナすぎる”ツアーガイド、ローズさん。胸には「All MUSIC comes from N'Awlins」(全ての音楽はニューオリンズから)のバッジ。とことん念が入っている)

 最後の目的地は、フレンチクォーターから道を挟んだ北、ルイ・アームストロング公園の中にある、「Congo Square(コンゴ・スクエアー)」。アメリカの黒人音楽の歴史を語る上で最も重要な意味を持つ場所だ。19世紀後半、黒人奴隷たちは唯一ここに集まり音楽や踊りを楽しむことが許されていた。彼らは日曜日の午後になるとドラムや管楽器で祖国アフリカの伝統音楽を奏で、魂を慰め合った。この魂の叫びにも似た音楽がやがて、ブルース、ゴスペル、カントリー、そして西洋のクラシックの影響を受けながら交じり合い、ジャズが生まれて行ったのだ。(ここでやっとジャズのお出ましだ!)
 ジャズの誕生とほぼ時を同じくしてこの地で生まれたルイ・アームストロングは、コルネット(小型版のトランペット)の才能を見込まれて、地元の楽団で腕を磨いた後、21歳でニューオリンズを離れシカゴへ渡り、生涯ここに戻ることはなかった。
 「サッチモ(ルイの愛称)は、ニューオリンズが大っ嫌いだったんだ。幼い頃は親から虐待を受け、13歳で銃を誤って撃ち感化院にぶちこまれ、なんにもいい思い出がないのさ」 ニューオリンズの空港や公園やいたるところに自分の名が冠せられ、銅像が建て祀られている現状を、ルイは天からどんな気持ちで見ているのだろうか。


ルイ・アームストロング公園の入り口に立つサッチモの銅像

1947年、アメリカで最初のロックのレコーディングが行われたスタジオ跡。(838-840 North Rampart Street)
1945年、ニューオリンズ生まれのアメリカ人、コズィモ・マタッサが18歳でこの場所に“J&Mレコーディング・スタジオ”を設立。1947年から56年の間に、ファッツ・ドミノ、プロフェッサー・ロングヘアー、リトル・リチャード、レイ・チャールズ、リー・ドーシー、ドクター・ジョン、ジェリー・リー・ルイスらがここで録音を行った。1999年12月、J&Mレコーディング・スタジオは歴史的建造物に指定。今はコインランドリー併設のショップになっている。

ルイ・アームストロング公園内で、ルイジアナ南西部のフォーク音楽である“Zydeco(ザイデコ) フェスティバル”が行われていた。
(左)老いも若きも白人も黒人も陽気なリズムに乗ってステージ前で踊リ狂う。 (中央)なまずのPoboy(ホットドッグ)とソフトシェルクラブのPoboy。(右)ニューオリンズの地ビール「ABITA」。


知られざるニューオリンズの名所紹介
■エドガー・ドガの家&博物館 (Edgar Degas House)
 『踊り子』のシリーズで有名な19世紀フランスの印象派画家、エドガー・ドガ。彼の母と祖母が共にニューオリンズ生まれのクレオール(植民地生まれのフランス人)であったことは、あまり知られていない。フランスで生まれたドガは1872年から73年まで母の生まれ故郷であるニューオリンズですごし、この地に大いに影響を受け、人物の深層に焦点を当てた作品を多く残している。彼は幼くして母を失い、以後父と祖父に育てられた影響か、女性と接するのが苦手だったという。生涯独身だった。
 フレンチクォーターから北に15ブロック、徒歩約20分の「Esplanade Ridge(エスプラネード・リッジ)地区」にあるこの家は、1852年に建てられ、現在は博物館およびB&Bになっている。日に2回ツアーが催されており、ドガの子孫(甥の孫娘)がガイド役をつとめてくれる。
 クレオが多く住んだ周囲の閑静な住宅街のウォーキングツアーや、屋敷内でいただくクレオールスタイルの朝食なども経験できる(朝のツアーのみ)。建物や周囲の環境の美しさから結婚式を挙げる場所としても人気で、2013年から4年連続、「ベスト・オブ・ウェディング」に選ばれている。
 
ポーチにあるこのキャストアイロンは、ドガの絵の中にも登場する
 
ドガの暮らした建物の部屋のひとつ。この部屋に泊まることもできる。
ガイドをしてくれる、ドガの子孫、Micey Moyerさん。
実際にドガが使っていたアトリエにて

住所:2306 Esplanade Avenue New Orleans, Louisiana, LA 70119
Tel:504 8215009
ガイドツアー:10:30am〜, 1:30pm〜 /大人 $29
宿泊も可能
http://www.degashouse.com/



■第二次世界大戦博物館(The National WWUMuseum) 

Courtesy of The National WWII Museum

 第二次世界大戦でアメリカ経験したこと―戦いがどうして起こり、いかに勝利し、それが現在に何を意味するのか―を伝え、そこから次世代がいかに学びとるか、をテーマに建てられた戦争博物館。2つのシアターと3つのパビリオンを含む壮大な規模の建物の原型は、2000年に創設された“D-Day(1944年6月6日のノルマンディー上陸の日)博物館”で、今ではニューオリンズの観光名所トップに名を連ねる人気アトラクションになった。トリップアドバイザーのアメリカTOP3博物館”にも選ばれている。
 「なぜニューオリンズなのか?」それは、歴史学者でアイゼンハワー大統領の伝記作者でもあったスティーブン・アンブローズ博士(D-Day博物館の創設者)が長年ニューオリンズ大学の教授を務めていたこと、またD-Dayでの米軍勝利に貢献した水陸両用艇、“ヒギンズ・ボート”の発明及び製造の地がニューオリンズであったことからだという。(Andrew Higgins’ “Higgins Industries”)。
 館内には戦闘機や戦車などの展示、体験型アトラクション、4Dフィルムの上映など、見どころは多いが、同時にショッキングなビジュアルも多く含まれている。また、あくまで「先勝国」アメリカ側から見た戦争の展示であり、アメリカは現在も世界のどこかで戦争をし続けている唯一の国であることをお忘れなく。



新展示「Road to Tokyo(東京への道)」

 2015年12月に、当博物館肝入りで新オープンした常設展示、「Road to Tokyo」。1941年12月の日本軍による真珠湾攻撃・宣戦布告から、1945年の終戦までの、日本とアメリカの壮絶な戦いの歴史を映像や証言ビデオ、資料や武器の展示などで振り返る。



Courtesy of The National WWII Museum

住所:945 Magazine Street, New Orleans, LA 70130
時間:9:00 a.m. ? 5:00 p.m. (展示館によって時間は異なります。)
博物館入館料:大人$26、65歳以上$22.5、学生$16.5 
Tel:504-528-1944
http://www.nationalww2museum.org/



2)ニューオリンズといえば・・・「夜遊び編」

 ニューオリンズに来たなら、夜はぶらぶらバーボンストリートを流す、というのが言わずと知れた鉄則だ。バーボンストリートは、市の中心繁華街フレンチクォーターの最もにぎやかな通り。夕方になると、あちこちの窓からジャズ、ロック、ブルース、カントリーなど、さまざまな音楽がごちゃまぜで聞こえてくる。どのBarも扉や窓は開放しているので、通りの外から音楽は聞き放題なのだ。
 気に入ったBarを見つけて、中に入る。ミュージックチャージはほとんどの場合なし。気持ちよく音楽を聞かせてくれたミュージシャンに、チップをはずもう。

 心地よいブルースが聞こえてきた店、「Bourbon Heat」に入ってみた。ギターとベースのふたりが、まったりとブルースを演奏していた。カウンターと2〜3のテーブルがあるだけの小さなおちついた店。外の喧騒を忘れて一息入れるのにはちょうどいい。

「Bourbon Heat」
711 Bourbon Street New Orleans, LA 70116
(Located between St. Peter & Orleans)
(504) 324-4669
http://www.711bourbonheat.com/

 少し流すと、今度は“ヨーロピアン ジャズ”の看板が目に入ってくる。観光客にも大人気の店「Fritzel’s European Jazz Pub」。細長く奥の深い店の、一番奥に小さなステージがあり、そこに多い時には10人ほどのジャズ・バンドがご機嫌なジャズナンバーを聞かせてくれる。客は古い木製の長椅子に長テーブルで肩を寄せ合って座る。昔の芝居小屋のような雰囲気がまた味があって楽しい。

「Fritzel's European Jazz Pub」
733 Bourbon Street
(504) 586-4800
http://www.fritzelsjazz.net/


 ちゃんとした雰囲気の店で、それなりにドレスアップして落ち着いてジャズが聴きたい、という方にお勧めするのが、バーボン通りで最も高級なホテル、「ロイヤル・ソネスタ」内にあるラウンジ、「アーヴィン・メイフィールド・ジャズ・プレイハウス」。毎晩8時から、一流アーティストによる様々なタイプのジャズを聴くことができる。予約なしで入れるが、ショーによっては売り切れになる場合もあるので予約をしたほうがよい。20ドルで事前にミュージシャンに近い席を選べることもできる。オンラインで。


「Irvin Mayfield's Jazz Playhouse」 (Royal Sonesta Hotel内)
「Royal Sonesta New Orleans」
300 Bourbon Street
(504)586-0300
http://www.sonesta.com/royalneworleans/


折しも、バーボンストリートは“ゲイ・パレード”の真っ最中。オーランドでゲイバーを狙ったテロ事件があった直後だけに、「私たちはオーランドと共にある!」のメッセージがあちこちに。

 20年ほど前にはほぼ毎年のように通っていたニューオリンズも、あの「カトリーナ」を境に大きく変わってしまった。しかし、幸いにもこのフレンチクォーターは大きな被害を免れ、昔ながらの建物はほぼ残っていた。18世紀に建てられた建物内にある「プリザベーションホール(Preservation Hall)」もそのひとつ。1961年にオープンして以来、ニューオリンズのトラディショナルジャズを聴かせてくれるこの場所は、「ハコ」という表現が一番ぴったりくる。冷房はない。観客は手にしたハンカチではらはらと気持ちばかりの涼をとりながら、マイクなしの生音に体を揺るがせる。写真撮影は一切禁止。だからここでは、雰囲気ぶち壊しの携帯電話の青いスクリーンに視界を邪魔されずにすむ。

「Preservation Hall」
726 St. Peters St.
(504)522-2841
8:00pm〜11:00pm 
入場は先着順。演奏は1ステージ45分、総入れ替え制。$15(平日)、$20(金・土)

https://www.preservationhall.com/

バーボン通りはもう古い!若者に人気の“フレンチメン・ストリート”
 フレンチクォーターからエスプラネード通りを渡った、ファウバーグマリニー(Faubourg Marigny)地区にあるのが、若者に人気のフレンチメンストリート(Frenchmen Street)。昔は、老舗のジャズクラブ「スナッグ・ハーバー」や「カフェ・ブラジル(閉店)」、「カフェ・イスタンブール」くらいしかなく、歩いていくには勇気がいる場所だったが、今は見違えるほど賑やかになった。また、歩いている人たちもバーボン通りと比べると格段に若く、いわゆる地元の若者のたまり場という感じだ。
 実は、この通りこそ音楽の宝庫。軒を連ねるBarやライブハウスを外から覗くと、若々しい音色のジャズ、ファンク、ブルース、ロックがパワフルに聞こえてくる。東京なら、高円寺か下北沢、大阪なら南森町か福島あたり、といったところか。
その中でも人気なのが、「The Maison」。とても質の高いファンクやジャズを中心にしたライブを、1週間休みなく聞くことができる。

この日はなぜか”プリンス”が飛び入り。

「The Maison」
508 Frenchmen Street
(504)371-5543
http://www.maisonfrenchmen.com/

 ジモピーには“The Cat”と呼ばれて親しまれている「The Spotted Cat Music Club」は、ジャズ、ブルース、ファンクなどを毎日休みなく演奏している。店内は小さいのですぐに満杯になり全立見席になってしまう熱気が熱い。女性のトイレにはなぜかアップライトピアノがあることでも有名。“ニューオリンズのTOP10ミュージック・クラブ”(by 「The Guardian」)にも選ばれている。2amまで。
「The Spotted Cat Music Club」
623 Frenchmen St
(504)943-3887
Mon - Fri: 4:00 pm - 2:00 am、Sat - Sun: 2:00 pm - 2:00 am
http://www.spottedcatmusicclub.com/

 ところで、もし「好きなジャズ・ピアニストは誰か?」と聞かれたら、間違いなく私が挙げる名前の一人が、巨匠エリス・マルサリス。ニューオリンズ・ジャズの宝的存在だ。現在81歳の彼が月に2度ほど出演しているのが、ニューオリンズでも老舗中の老舗のジャズ・バー&レストラン「Snug Harbor Jazz Bistro」。フレンチメン通り、ロイヤル通りとチャートリズ通りの間にある。ゆっくりと食事も楽しめる。おしゃれして出かけたい場所だ。

「Snug Harbor Jazz Bistro」
626 Frenchmen Street
(504)949-0696
ライブ:毎日8:00pm〜、10:00pm〜/食事は5:00pm〜
http://www.snugjazz.com/

■その他 Frenchmen界隈のBar
Apple Barrel (609 Frenchman Street)
DBA New Orleans (618 Frenchman Street)
Cafe Negril (606 Frenchman Street)
Blue Nile (532 Frenchman Street)
Yuki(雪) (525 Frenchman Street)
The Dragon’s Den (435 Esplanade Avenue)
The John (2040 Burgundy Street)
Bamboula’s (514 Frenchmen St)
30°/-90° (520 Frenchmen St)
Three Muses (536 Frenchmen St)

■Frenchmenの全てがわかる便利なWebサイト
http://frenchmenstreetlive.com/

■フレンチメン・アートマーケット(Frenchmen Art Market)
 フレンチメン通り、「Snug Harbor」のちょうど向かいあたりにある、「フレンチメン・アートマーケット」。100を超える地元のアーティストのベンダーがずらりと並び、個性的な作品を展示・販売している。かなり夜遅くまでオープンしているので、飲みついでにぶらぶらのぞいてみるのも楽しい。


老舗。「Maple Leaf Bar」
  
 1974年開業、ニューオリンズで最も古いライブハウスの一つ「Maple Leaf Bar」。市内から少し外れたところにあるが、このミュージック・クラブを知らずしてニューオリンズの音楽は語れないほど、地元ミュージシャンに影響を与え続けているハウス。住宅街の中にぽっつりとあるのでわかりにくいが、中に入るとカウンターバーがあり、となりに奥の深いライブルームがある。そのまた奥にはパティオがある。2006年にはビヨンセが、ここで夫のJay-Jと共に「デジャ・ブ」のミュージックビデオを撮影した事でも知られる。1995年よりニューオリンズ拠点に活動を続けている伝説のギタリスト、June Yamagishi(山岸潤史氏)も、定期的に出演している。

「Maple Leaf Bar」
8316 Oak Street
(504)866-9359,
www.mapleleafbar.com.



3)ニューオリンズは食の宝庫 :「グルメ編」
 (※近日公開予定)

■関連記事
全世界にシカゴを売り込め!2014 “IPW(International Pow Wow)” In Chicago
 




                          (文責/撮影 :長野尚子 Text/Photo by Shoko Nagano)


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