シカゴ・カブス福留孝介選手、地元の子供たちと熱い交流をかわす〜ANA主催
「福留選手とベースボールキッズの集い」〜シカゴ日本人学校全日校訪問

 シカゴの緑があちこちで美しく紅葉されてきた10月後半、シカゴ・カブスの日 本人メジャーリーガー、福留孝介外野手が、シカゴ在住の子供たちとなごやかに 交流し、メジャーリーガーとしてのレベルの高い野球技術も教えた。10月19 日(日)、シカゴ郊外アーリントンハイツ市のダブルツリーホテルで、ANA主 催の「福留選手とベースボールキッズの集い」が行われ、地元の野球少年少女た ちが、福留選手との熱い交流を楽しんだ。今年初めてメジャーリーグに挑戦した 福留選手にとって、このような地元の子供たちとのシカゴでのイベントは初め て。続いて20日(月)は、同市にあるシカゴ日本人学校を訪問し、全日校小中 学部180人全員の前で夢を追い続けることの大切さを説いた。アメリカ人にも 知名度が高くなった憧れの福留選手からの激励に対して、全日校の子供たちは、 力強い熱いエールを全員一体となって送り、感謝の意を表した。

 19日のANAの「キッズの集い」の方は、くじで選ばれた子供たちとその親た ちで、熱気ムンムン。この日を待ちに待った野球キッズたちは、福留選手の生の 姿を見れるとあって、ワクワクした面持ち。がっちりとした体を白のシャツと黒 のジャケットで包み、ジーパンをはいて現われた福留選手。いきなり冒頭で、 「英語で質問しないでください。わかりません!」とジョークで切り込むと、一 気にみんなの緊張がほぐれる。シカゴの町の印象として、夏は短いが現在の紅葉 のきれいな秋を楽しんでいるという。寒さに強くないらしく、寒い時期はカイロ を体に貼っているとか。食事は、奥様が作る和食が中心と教えてくれた。今年、 待望の長男が生まれて、異国での生活を家族で楽しんでいる姿が想像できる。

 続いて、福留選手は、強烈に面白いカブスの選手たちのエピソードを、紹介して くれた。スプリングキャンプで、トレーニングコーチの古い車がハンマーでめ ちゃくちゃにつぶされていて、そのコーチが落ち込んでいたところに、新しい車 をみんなで渡したという。ESPNのニュースにも流れたというから、メジャーリー ガーたちのハチャメチャな行動に、入団直後の福留選手は、さぞや驚いたことだ ろう。チームで一番の仲良しは、同じ外野手のソリアーノ選手。ソリアーノ選手 は、かつて日本の広島カープでプレーしていたので、日本語が話せ、スプリング キャンプでは松田聖子の古いヒット曲「あなたに逢いたくて」をずっと歌ってい たという。このアルバムを渡され、思わず引いてしまったという。カブスが勝っ た試合の直後、いつも外野の3人が走りながら、うれしそうに腰をぶつけ合う挨 拶も気心が知れた仲だから自然にでるのだろう。

 カブスの主砲、一塁手のデレク・リー選手のことは、「賢いという印象で、結構 器用。」とほめ、貫禄のエースピッチャー、ザンブラーノ投手は、「3回で (ピッチャーを)交代したときは、ポットをこわすほど、短気。」だという。 ルー・ピネラ監督は、短気そうに見えるが、のんびりしていて、英語とスペイン 語をしゃべり、両語を交じりながらしゃべると何言っているのかわからないらし い。しかし、チームでは、福留選手は英語がしゃべれないので、自分の意見を伝 えられず、今季は慣れるのにかなり苦労したという。カブスは、ラテン系の選手 も多いので、英語とスペイン語が飛び交うベンチが想像される。持ち前の明るさ とユーモアのセンスで、言葉の壁をなんとかのりこえてほしいものだ。

 福留選手は、シーズン前半攻守ともに大活躍し、地区優勝したカブスの牽引力と なり、いきなり今年のオールスターにも選ばれた。そのため、さまざまな福留 ティーシャツは売れに売れ、(中には「フクドメ」というのもあった)「福留」 「福留孝介」と名前が入ったハチマキをつけた熱狂的なファンもリグレー・ フィールドのあちこちで見かけた。手を合わせておじぎをする野球狂のアメリカ 人や日本語を話すアメリカ人も多々いて、シカゴ在住の私たち日本人にとって、 こんなにうれしかった日々はない。憧れのオールスターの思い出は、すべてにお いて、日本と違ってスケールが大きいという。ホームラン競争では、家族をその 場に呼べるし、自分の出番が終わると、試合中でも選手たちは帰っていくのに びっくりしたという。笑いながら、「僕も帰ったけど」と一言。イチロー選手と 一緒に話をしたり、写真を撮って、サインをもらったという。ドジャーズの日本 人メジャーリーガー、黒田投手や斉藤投手との対戦では、「日本の選手を打った ら、まずいなという気持ちはでますね。」と優しい面も見せる。

 子供たちとの質疑応答コーナーの冒頭の質問は、開幕戦での同点ホームランにつ いて。「ガニエの1、3(1ストライク3ボール)からのまっすぐ。打った瞬間 入ると思ったし、一番手ごたえあった。9回の表に1点とられなかったら、ヒー ローだったのにね。」とうれしそうにその瞬間を思い出しながら話す。0対3で 負けて迎えた9回裏、2人ランナーをおいて、ブリュワーズのクローザー、ガニ エからのセンターへ突き刺さった目の覚めるようなホームラン。

 その後、1点入 れられ、結局カブスは開幕戦は負けたが、デビュー戦で、あのような場面での ホームランは、カブスファンにものすごいインパクトを残した。負けた気がしな かったし、あの開幕同点ホームランが、その後のカブスの快進撃に間違いなくつ ながった。福留選手の選球眼の良さがチーム全体にも波及し、福留選手の守備力 の良さも注目された。そして球場全体でカブスファンから自然に「フ、ク、ドー メ」コールがうねりのように流れ、私たちはその活躍に酔いしれた。

 そして、福留選手は、その熱狂的なカブスファンのすごさも説明してくれた。 「熱狂的を超えている。リグレーに来る人は野球好きで詳しい。日本のファン は、ビールを飲んでて、野球を見ていない。(球場に)ネットがないので、選手 との距離はまちがいなく近い。」相手のチームの選手がホームランを打ったボー ルを投げ返すという有名なカブスファンのユニークなしきたりも、「リグレーで しか見たことがない!敵が打ったホームランを投げ返す。道路からも投げ返して くる。」また、平日のデイゲームの多いリグレーでのカブス戦に観客が常にはい るのも、、「カブスファンは、仕事しているのか?!」と聞いたぐらい不思議 だったとか。「カブス戦に行かせてくれないと、仕事をやめる。」と言ったら、 上司が「いい」と言ってくれたなどという面白い話も聞かせてくれた。カブス は、日本のチームにたとえると、やはり「阪神」だという。熱狂的なファンがい るというのが共通点なのだろう。勝った試合の直後にファンが大声でそれぞれの 応援歌を歌うのも同じだ。シカゴと大阪は今年姉妹都市になって35周年。PL 学園出身で大阪に住んでいた福留選手にとって、そういう点でシカゴに親近感を 感じるのかもしれない。

 キャッチボールとバッティングの実技指導も福留選手から選ばれた子供たちに行 い、丁寧にポイントを説明し、1人1人念入りに指導。肩、お腹、膝のラインを バットを前に差出し、そのラインを平行に右左と腰を回すよう指導。それをバッ ティングに応用しながら、自身のバッティングフォームを披露。ここシカゴで は、井口選手、田口選手、そして福留選手と3人の日本人メジャーリーガーが野 球指導を行っているが、ポイントがそれぞれ違うので、その3人の指導を受けた 息子たちは、ポイントをもう一度かみしめていた。



 翌日、福留選手は、シカゴ日本人学校を訪れる。まずは、今年4月にできたシカ ゴすみれ幼稚園の年長のクラスへ。子供たちは、広々とした教室で、ミニ野球を 披露。福留選手の目線は前日と少し違って、柔らかい。

 「何歳ですか?」「31 歳」「マクドナルド好きですか?」「好き、シェイクが好き」「何色が好き?」 「カブスだから青かな」「ケーキがすきですか」などとほのぼのとした会話が続 く。子供たちが作った紙のケーキを大事そうにさわり、子供たち1人1人と手の 大きさを比べる福留選手。 年中のクラスでは、「どうやったら、野球がうまくな りますか?」という質問に、「いっぱいごはんを食べて、緑のグランドを走る。 そうしたら、うまくなる」と子供たちを真剣に励ます。

ときおり、子供たちの頭 もなでながら、優しい笑顔を絶やさない。最後は「ギブ・ミー・ファイブ」を園 児1人1人とうれしそうにやる。赤ちゃんを持つ福留選手にとって、31人のシ カゴ在住日本人園児たちとの交流は、貴重な時間だったに違いない。

 そして、小中学生181人が待つ大体育館へ、笑顔をたたえて、入場。講演の冒 頭で、「この中で、将来自分はこうなりたいと夢を持っている人、こうなりたい と決めている人」と呼びかける。小学校の卒業文集に「野球選手になりたい」と 書いて、そのために一生懸命練習したという。学校まで走ったりしていたとい う。「やりたいことに向かって、自分が何ができるか努力する。なりたいという 思いを常に持って努力することが大切。努力し続けた結果が、プロ野球選手、そ して憧れのメジャーリーガーになれた」と、とつとつと子供たちを励ます。「た だ、自分1人でできることは限られているので、友達、両親、恋人に助けてもら うことがある。そのときに心の中で感謝して、「ありがとう」と英語でも日本語 でも言える大人になってください。」と簡潔に締めくくった。

 まじめな話の後は、生徒との質疑応答で、ユーモアたっぷり。「野球を始めた きっかけは?」という質問には、「幼稚園のとき、お父さんたちのソフトボール の練習を手伝いに行くと、アイスをくれた。アイスがほしくて、野球を始めた。 本当だよ!」と言うと、みんなが大笑い。

 「カブスの試合で一番自分の中でよかったと思える試合は?」という質問は、や はり「9回に同点ホームランを打った開幕戦が一番よかった」という。中学部か らは、技術的な質問も飛び出す。「球のスピードを上げるひけつは?」という質 問に対して、「遠投すること。僕で、120メートルぐらい(投げる)」とみん なをびっくりさせる。バッティングのインパクトの力の入れ方は、ボールを打つ 瞬間だけに力を入れることだという。「もし、野球選手になってなかったら、何 になっていたか」という質問には、「モデルかな・・・」と一言。「エーッ!」 とみんなの反応を楽しみながら、すぐに、「バスケットをやっていたかもしれな いね」と答え直す。

 その後、中学部の地元の野球チームに所属している生徒たち6人を相手に技術指 導を行う。全員がキャチボールをする中、自身もデモンストレーション。メ ジャーリーガーの投げる球の速さを身近に見て、子供たちは目を白黒。「ボール を取るときは、こっちの手はそえているだけでいい」と手の動きをまず注意し、 まっすぐの線上に両足をゆっくりと置きながら、キャッチボールの基本の形を見 せる。ティーバッティングで、その力強く速いスウイングを披露。そのインパク トの瞬間にでる大きな音にみんなびっくりしていた。

 この福留選手訪問の最後の盛り上がりは、全日校生徒たちからの応援エール。運 動会で応援団長をした中3男子が1人前にでて、「みんな、用意はいいか!」 「オー!」とまさに運動会が再現したかのよう。「ゴーゴーレッツゴー、レッツ ゴー福留!」と団長が先導し、全員が一斉に大声で同じ節で答える。「ファイト だ、福留、ガッツだ孝介」「優勝福留、無敵な孝介」と大体育館中にみんなの福 留選手への思いが響く。まさに圧巻。福留選手は、思いがけない生徒全員の激励 に、「こんなにそろうとは、びっくりしました。」と感激の様子。交流後、関係 者に「あんなに素晴らしいエールをもらえるとは思わなかった。自分自身の励み になる。日本人という一体感があり、感動した。」と語った。

 小学3年生の男の子が一言日記で、「目の前で福留選手が見られて夢のようで した」と、また小学3年生の女の子も「お話の時、「夢にむかってばんがろう」っていうお話で、わたしは漫画家にな りたいので、夢に向かって頑張ります。」と書いている。

 福留選手の2日間にわたる子供たちとの交流 は、気さくにユーモアをまじえながら子供たちに語りかけ、夢を追いかけ続ける ことの大事さを自分の野球技術を見せながら、印象づけた。この福留選手との貴 重な2日間を子供たちはずっと忘れないであろう。来年の福留選手の活躍が期待 される。。



                                                                             記事・写真 馬場邦子

                                               取材協力  河西幸恵

ホーム | 初めての方へ | お問い合わせ | 投稿者&ライター募集中! | 規約と免責事項 | 会社概要

Copyright (c) 2005 US Shimbun Corporation. All Rights Reserved.